2025年3月7日 金曜日
ちょうど一週間前、年中4クラスで集まりました。部屋を暗くして年長さんが1階に下りてきていないことを確かめて静かに静かに子ども会議の始まりです。議題は「園内さよなら会をどうするか。」です。園内さよなら会というのは、今まで私たちのためにいろんなことをしてきてくれた年長さんがもうすぐ卒園するので、その前にみんなで集まって感謝の気持ちを伝える会です。「どうすれば年長さんに感謝の気持ちが伝えられるのか?」そんなことをみんなで話し合っていると、いつものように古森先生が様子を見に来てくれました。年中児が小さな声で「こもりせんせい!こっちこっち!!」と手招きして古森先生にも中に入ってもらいました。子ども達が暗がりの保育室で、いつもの元気な大きな声を封印しているのを見てすぐにぴんと来た古森先生も、もちろん忍び足で保育室の中に入ってきました。そして子どもたちが話し合いの内容を報告しました。話を一通り聞いた古森先生が「さよなら会を開いてあげるのはとっても素敵なことだね。でも〝さよなら″って言うとなんだかもう二度度会えないみたいだね。さみしいね。」と言いました。はっとした子どもたちはきっと頭の中でぐるぐるといろんな言葉を考えていたに違いありません。古森先生が続けて「年長さんって、幼稚園で一番幼稚園のことをよく知っているお友達だよね。楽しいことをいっぱいわかってるんだよね。」と話しました。するとそれを聞いたりす組のYくんがぱっと「じゃあ、“楽しいことを思い出す会”って名前を変えたらいいんじゃない?」とみんなの前で提案しました。『楽しいことを思い出す会』というのは昨年の12月に行った三葉幼稚園の子どもたちの忘年会のようなものです。「年を忘れる、と書いて忘年会だけど、楽しいことがいっぱいあって忘れたくないから楽しいことを思い出す会のことです。みんなで楽しいことを振り返りながらお菓子やジュースで乾杯しました。
「さよならはさみしい感じがするけど、楽しいことを思い出す会ならなんにもさみしくない!楽しい!!それいいね!!」と子どもも大人も大賛成!!そこで楽しいことを思い出す会パート2の開催が決定しました。内容もみんなで考えて小さなたんぽぽさんから大きな年長さんまでみんなが楽しめるものにしました。そして来週の金曜日、3月7日までは年長さんにはひ・み・つ。これが一番大変。秘密にするのは「サプラ~イズ!」で会を開いた方がきっと驚くし、楽しくなるから!すべては年長さんを楽しませるため!喜ばせるため!!
年長にお兄ちゃんお姉ちゃんがいる子はこの一週間、何度も友達や教師に「言ってない?バラしてない?」としつこいほど確認され、その度に「大丈夫大丈夫!言ってないから!でもママにはプレゼント作りの材料が欲しくてこっそり言ったけど内緒にしてくれてるよ。」と答えていました。Iちゃんは同じバスの年長さんと仲が良く、いつも楽しいお話をしながら帰るのですが、秘密を言いたくて言いたくてたまりません。バスに乗り込むなり「あのね、いいことがあるんだよ。でも内緒だよ~ふふふ!!」と口を押えて満面の笑みで言っていたそうです。添乗していたバスの教師に「Iちゃんキケンだな~(笑)言いたくてたまらない様子だったよ!」と聞いて私たちも大笑い。みんな今日のために年長さんには秘密でこっそりプレゼントを作っては絶対に入ってこない倉庫に隠したり、飾りや招待状の準備をしたり一生懸命ひ・み・つを守っていました。
昨日の降園前、年中児で作った招待状を年長のお部屋に持っていきました。三葉の年長さんはとっても賢くて先生たちのことがよくわかっていて勘が鋭いので「楽しいことを思い出す会」と言うと何もかも見透かされてしまうんじゃないかということで招待状にも秘密がいっぱいです。『3月7日、卒園式の練習が終わったらお外で楽しいことがあるよ。来てね。でもまだ内容はひみつ。』という何の情報も書いていない異例の招待状です。(笑)年長児はそれから預かりの年中児や教師たちに質問攻め。「なんなん秘密って!教えて!」「楽しいことって何するん?」他の話には答えるけど、その手の質問になると突然耳がお留守になる私に、ぞう組のJくんとKくんは「もう!教えてくれないとKちゃんしょげしょげになっちゃうんだから!」「ぼくだって(Jくん)教えてくれないとパンみたいにふやけて力が出なくなっちゃうんだから!!」となんともかわいい脅しを受けましたが私も秘密を守りました。Jくんは「優しい先生なら教えてくれるかも」と考え、T先生やS先生の元へ行き「教えて~」と言うも断られてしまい、なんとか年中児にヒントをもらったそうです。ヒントは「2」。「なんか2個もらえるか、2個するか、なんやろな~」とわくわくしながら考えていたそうです。
今朝もくま組のSくんは私に元へ来て「先生、楽しいことって何?」と聞きに来ました。わたしの耳が例のごとくお留守になるとSくんは「秘密ってこと?それなら仕方ないか~」と大人の対応で去っていきました。「わたし知ってるよ!何するか!!」とHちゃんが大きな声で言いました。「わ!誰か言っちゃったかな?」と思って「何するん?」と聞くと「ひなたぼっこよ。S先生が言ってた!!」と言いました。「そっかそっか!」と年長児。何人か首をかしげていましたが見事に騙されています。
年長さんが卒園式の練習をしているうちにプレ・年少・年中の子どもたちは働きアリのようにあちらこちらで準備に勤しんでいました。年中児は「もうすぐ年長さんなんだから!」と先生と一緒に道具を運んだりシートを広げたり重たいものは友達と協力しながらせっせと動いていました。
年長さんも今日は卒園式の練習に真剣に取り組んでスムーズに終わらせないと「楽しいこと」をする時間が減ってしまう!と昨日よりも集中して式の練習をしていました。
式の練習が終わる頃、年中の代表のお友達が「年長さん、お外で待ってます!」と呼びに来てくれました。古森先生が「年中さん達が楽しいこと考えてくれたのよね?びっくり箱あけるんだっけ?」『いえいえ~』「大きな大きなぼたもち作るんだっけ?」『いえいえ~』と両手を前にしてふりふりして答えていました。大人の返事ですね、年中さんも。さぁ、お外に出ましょう!外に早く出ようと言っていたのに、年長さん達は2階の保育室の前のテラスから見る園庭に白線でトラックが引かれているのを見て「リレーするんよ!絶対!!」と言ってたそうです。勘が鋭すぎ~!
外に出ると、保育室に入る前の園庭とはうってかわって飾りがいっぱい、シートも敷いてて見るだけでわくわくです。入場行進から始まって最初ははじめのことば、そして踊りです。
運動会で踊った「は~おっちょこちょいだなぁ」と小さい子も踊れて楽しい「からだ★だんだん!」でテンションが上がってきました!
久しぶりにみんなが園庭に集合するとこの少子化の時代にこんなにたくさんの子どもたちの笑顔が一気に見られて幸せだなぁと思いました。みんな楽しそうでかわいい。
次はお引越しゲームです。
音楽に合わせて次々とお引越ししながらみんなと顔を合わせて踊れる楽しいゲームです。みんなが一度に動くと危険なので年長さんと一学年ずつ行いました。
初めてのお引越しゲームだった年少さんやたんぽぽさんも、年長、年中児がしているのを見ていたからかあまり困ることなく参加できていて驚きました。
たんぽぽさんには年中児の代表が「お助けマン!」としてお手伝いに入りました。今まで年長さんがしてくれていたさりげないサポート、ぼくたちも頑張ってやっていくからね!
そして次は「混合リレー」です。たんぽぽさん、年少さんからはクラスの代表一名、年中からは二名、そして年長さん全員でリレーをしました。年長さんに帽子を借りてよーいドン!小さな体のたんぽぽさんが年長さんの帽子を被っているのが愛らしく思わず笑ってしまいました。今日のリレーは1位ぞう組、2位らいおん組、3位くま組、4位きりん組でした。
司会の子どもが「次はお楽しみです」と言いました。お楽しみってなに?「あ、あれはなんだ?」と指を指すと古森先生がパーテーションの隙間を覗いて何やらごにょごにょ話しています。ぱか~ん!!と壁が開くとそこにはたくさんのお菓子が並んでいます!!子どもたちは大喜び!!
でもぬいぐるみの一人が古森先生に話しかけたようで古森先生が「なになに?」と耳を傾けています。ぬいぐるみさん「ぼくもお菓子食べたい」と言ったそうです。(笑)するとMちゃんが「いいよ!仲間に入れてあげる!」と答えました。冗談のわかる年長さん、大人です。
たんぽぽから年長までみんなで小さな円になって集まってお菓子とジュースで乾杯です。
そこで私の大失敗!ほとんどお菓子が終わりかけたところで「あ!!インタビューするの忘れてた!!」とマイクを通して大きな声で言ってしまいました。お菓子を食べながら年長さんに三葉幼稚園の楽しいことをたくさんインタビューしていくつもりだったのにすっかり忘れていました。そのまま「ま、いっか。お昼の放送でインタビューしよ!」とマイクを通して言ったのでK先生に「マイクで言うけん全部ばれとるわ」と笑われてしまいました。
お菓子を食べた後に小さい子から年長さんへプレゼント渡しです。まずは年少さんからペンダント。次はたんぽぽさんから腕輪のプレゼント、最後に年中児からは三葉幼稚園で一番かっこいい、一番えらい年長さんへ、王冠のプレゼントです。
みんなプレゼントを喜んでくれてバスで帰るときも、預かり保育の間もプレゼントを大切に身に着けてくれていました。
調理師さんからはスペシャル給食のプレゼントです。「ピラフ、骨付きチキン、ナポリタン、サラダ、フルーツポンチ」とパーティーのようなメニューで、楽しいことを思い出す会パート2でたくさん楽しませてもらえた年長児はさらに大喜び、そして準備や運営を頑張った年中児はご褒美だ~!と言って嬉しそうに食べていました。
「楽しいことを思い出す会パート2にすればいい!」と提案したりす組のYくんは秘密にすることを徹底的に守っていたようでおいしい給食を食べながらほっとしたように「先生、秘密のことママにもう言っていい?」と担任に聞いてきたそうです。
給食を食べている時に年長のお部屋に行って「インタビューしたいんだけど~」と言うと「いいよ!いく行く!!」と気軽についてきてくれた年長児数名に事務所の放送を使ってインタビューをしてもらいたいことを伝えました。するとTくんが「あ~みずほ先生お外で言ってたよね。忘れてた~!!って。お昼の放送でするってこういうことね。ふんふん」とすべて理解した上で、わたしのミスを許してくれるという懐の深さ。見習いたいものです。インタビューする内容を何も事前には知らせていなかったのですが、「三葉幼稚園の楽しいことは何ですか?」「三葉幼稚園の好きなお遊びは何ですか?」「年長さんで頑張ったことは何ですか?」と言う質問に誰も同じ返答をすることなく、「朝来たらすぐに遊べるのが楽しい」「運動会楽しかったよ」「合奏頑張ったよ」と答えていました。Jくんは側で聞いていたK先生に最後の質問に対して「頑張ったことじゃないんだけどさ、言ってもいい?今日の会の名前って楽しいことを思い出す会よね?」と耳打ちして「今日の楽しいことを思い出す会楽しかったよ。」と言ってくれました。
Jくんはお帰りのバスの前も「古森先生にありがとうを言いに行きたい。」とバスの先生にお願いして事務所に寄りました。「今日楽しかったよ~!ありがとう」と言うJくんに古森先生が「幼稚園楽しいでしょう?小学校に行くのやめて幼稚園にいる~?」と聞くと「小学校にも行きたいけど~でも幼稚園とさよならするのはさみしいな」と答えました。そんなJくんに「古森先生が小学生になってもまた幼稚園に来たらいいよって言ってたもんね」と声をかけると「そうよ。卒園式で歌う“きみとぼくのラララ”のお歌でも『さよならなんて言わなくてもいいよね また会えるね』って言ってるもんね!卒園してもまた会えるんよ!!」とキラキラした目で言いました。その目がきれいで、心からの素直な言葉にわたしは思わず涙が出ました。入園したころ、あんなに小さかった年長さんが心も体も立派に育っていると思うと嬉しくて愛おしくて、卒園までまだあと少しあるのにまさか自分から涙が出てくるとは思いませんでした。そんなわたしを見てJくんは「もう~先生!大丈夫~?!」と明るい笑顔で手を握ってくれました。なんて優しいの。もっと泣いちゃう。みんなあたたかい気持ちで年長児が乗ったバスを見送りました。
今日の楽しいことを思い出す会パート2ではプレ・年少・年中児にとっては、今まで年長さんが自分たちのためにたくさん楽しませてくれていたことへの感謝の気持ち、誰かのために頑張ることは大変だし疲れるけど、心が温かくなるということを感じる良い経験となりました。そして年長児からは三葉っ子として育ってきたからこそある就学前の理想的な今の姿を見せてもらいました。
年長さん、卒園式まで残りあと一週間。仲良く楽しく遊びましょうね。
コメント (年長さんにはひ・み・つ!楽しいことを思い出す会パート2!! ぱんだ組 富田瑞穂 はコメントを受け付けていません)