幼稚園の日記(ブログ)

 Home /幼稚園の日記(ブログ)

  2020年6月4日 木曜日

~ かわいそうなじゃが芋から頑張ったじゃが芋・強くなったじゃが芋 ~

昨年の冬、当時年中だった、くま組のA君は、じゃが芋の種芋を半分に切ってお母さん芋を作る際、種芋を3つの輪切りにしてしまいました。当時の担任もこのじゃが芋は植えても実がならないだろうと諦め、ままごとにしようかと考えていました。そのことを園長に伝えると「植えてみたら。」と声をかけてくれ、小さな鉢に植えて様子を見ることにしました。看板には「かわいそうなじゃがいも。」と書いて付けました。園長以外の教師は正直諦めていましたが、ある日、かわいそうなじゃが芋から芽が出てきたのです。その日は、園全体で「芽が出た。すごい。」と大騒ぎでした。

その後もかわいそうなじゃがいもはゆっくりゆっくり生長していきました。5月のある日、園長が「そろそろ収穫の時期だよ。」と声をかけてくれました。年長になったA君はドキドキしながら収穫の日を迎えました。年中の時の担任とその友達数人で掘ってみると、正直立派とは言えない、小さくかわいらしいじゃが芋が5個もおかあさん芋とつながって出てきました。A君とそのじゃが芋に関わった教師や友達は飛び跳ねるように喜び合いました。それでもA君もみんなもかわいそうなじゃが芋には変わりありませんでした。

 

それから数週間が経ち、昨日はみんなが楽しみにしていた本当のじゃが芋掘りの日でした。自分達が植えたじゃが芋の生長を楽しみながらみんなでじゃが芋掘りをしました。

 

そして、今日、みんなが掘ったじゃが芋をふかし芋にしました。みんなは自分達のじゃが芋が食べられることを非常に楽しみにしていました。すると、園長が「A君のじゃが芋はどうしてる?一緒に蒸すと良いよ。」と声をかけてくれました。声をかけてもらったA君は、あわてて部屋の陰に置いてあったじゃが芋を園長の所に持っていきました。年中の時の担任とA君はそのじゃが芋を昨日掘ったみんなのじゃが芋の中に入れて一緒に蒸すことを考えていましたが、園長はその5個の小さなじゃが芋をフキンに包んで蒸し器のみんなのじゃが芋の上に載せたのです。そして、蒸しあがると園長はフキン開いて言ったのです。「このじゃが芋は、かわいそうなじゃが芋だったけど、一生懸命育って頑張ったじゃが芋になったんだよ。強いじゃが芋になったんだよ。A君も強い子になろうね。」と声をかけてくれたのです。その言葉にA君の表情はみるみる変わりたくましささえ見えました。

 

 

そして、じゃが芋が蒸しあがりクラスでじゃがいもを頂く時間になりました。みんなが掘った大きいじゃが芋と一緒に、A君の頑張ったじゃが芋も蒸しあがりました。明らかにおいしそうなのは皆で掘ったじゃが芋!A君にも大きくておいしそうなじゃが芋を渡そうとしましたが、「僕のじゃが芋は頑張ったじゃが芋なんよ。」と言って大きくておいしそうなじゃが芋はかたくなに受け取りません。そして、何個か出来た頑張ったじゃが芋を年中の時の先生やかわいそうなじゃが芋をずっと一緒に応援してくれた友達に分けて、頑張ったじゃが芋を味わって大切に食べていました。ふと見ると、お皿には頑張ったじゃが芋の中でも大き目のお芋が一個残っていました。「このお芋は?」と声をかけると「このお芋はひよこさんの時から面倒見てくれたバアバにどうしても食べて欲しい。」と残していることを話してくれました。『忙しいけれど大好きなパパとママ』ではなくて、小さい時に付き添ってくれたバアバに食べて欲しいというのです。教師一同大感激の中で頑張ったじゃが芋はバアバの手に渡りバアバは3つに割ってパパとママと感動を分け合ったのでした。

 

種芋を作る時、間違えなければなかった、A君とかわいそうなじゃが芋の成長、成長の中で様々な葛藤や気付きなどの過程での教師の心配りと援助によるA君の心の成長は、食育の大切さ、子どもの失敗を心のよりどころにしていく教師の援助の大切さを学びました。今日も幼稚園での出来事を、家庭に持ち帰り話をする子も多いと思います。是非子どもたちの話に耳を傾けてみてください。

BEFC4329-F159-47C2-B3BB-FBD45B67AE41